プロダクションから送られてきた塩見彩さんの宣材には驚かされた。上品な令嬢風な美人の備考にハードSM OKと書いてある。目を疑ったがプロダクションに問い合わせると、とても変わった女性で拘束にとても興味があり既に各社のAVに出演して好評であるとのことである。早速日程を決めて撮影に取りかかった。
衣装は和服で訪問着がいいだろう。色は緋色の春めいたもの。庭の床几に休ませる。冬のどんよりとした庭が彼女の姿で周りを明るく照らす。静かな美形がそこにあった。室内で幽玄さを演出してみようと薄暗い光を作ってみた。正座の姿である。ある程度は成功したと思うがどうであろうか？
確かに塩見は美人ではあるが無表情では物足りない。突然に彩の眼差しに光る涙が現れたきた。目が充血して悲しみが溢れてくる。彼女の内面に何かが起こり始めている。悲しみの記憶か。縄の恍惚に酔う涙か？美しい！撮影を始めた頃の幽玄さをすっかり忘れて照明が明るくなっている。光に彩の白い肉体が反射する。バイブを咥えた女陰に愛液が溢れて落ちる。彩の吐息が溢れる。静まり返った室内を吐息は僅かに揺らす。
縄の美は美醜があってこそ形成されるものであるが、このような美形の前ではどうしてもその美顔に頼ってしまう。だがこの撮影はそれを越えようと決めてかかった。それが最後のシーンで現れた。猿轡をして髪を乱した彩の表情は夜叉を見せた。彼女の一面を覗かせたようで凄惨な美を見た。
杉浦則夫
撮影：杉浦則夫 緊縛：奈加あきら 助演：鏡堂みやび 制作：杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2021.5.6・13 掲載終了 2021.6.10
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