仕事が熱心で頑張り屋さんの羽田さんが5月で引退という報告を受けて急遽撮影をすることに決めた。
最近は緊縛に迷いが出ている。一途にやって来ただけに今更の迷いは変である。だが最終コーナーの時を迎えると仕事に変に価値観を求める様だ。この<変な>が曲者だ。俺は読者のために撮影をして来たつもりである、だがそれだけでは寂しいものと気づき始めた。個人的な表現を求める欲が出て来た。撮影において個人的なとなれば縛りを自分でやるのが方法である。数十枚のカットの制作ならば可能であるが数百となると不可能である。そこでどうしても縛り師の力を借りなければならない。俺の場合は奈加さんである。二人で写真を作り上げていくには感覚をすり合わせなければならない。このすり合わせに最近は戸惑っているのである。10年以上も長く一緒に撮影をして来て突然にそんなすり合わせを求められれば迷惑なのは理解します。結果は悪くなるだろう。彼に縛りは全て任して俺は撮影に専念するのがいいのである。縄筋だ。縄どめ。と気にかけるよりも俺のやることは他にあるだろうと反省しきりである。もう一踏ん張りするかと自問するのである。
頑張り屋の羽田さんである。最近は剃毛してパイパンのモデルが多い。それを見て来たせいで羽田さんの隠毛の広がりには驚く多さである。いつも殆ど性器が陰毛で隠れている。陰毛愛好家のためにその部分をもっと強調しておけばよかったと反省する。それでもカメラを床に置くほどのローアングルで撮ってみた。尻がこちらに向いている、普通ならば花芯が開いて覗いているのであるが今日は隠れている。眼前にある黒い毛の向こうに恥ずかしげな顔がある。手を伸ばせば触れることができるほどによって撮る。黒い密林に吸い込まれる様に。このスタジオは天井が高いから吊の責めが色々とできる。体を水平に保った吊りをお願いしたが俺の伝え方が悪く失敗する。だが寝ポーズで竹を足にかけた時そのまま吊り上げれば水平吊りができると判断してそれを撮影する。その吊られた体を真下から撮りたかったのだ。俺の<我>をはったイメージである。出来上がりは画面が硬直している。多分この場合はどこかの縄を外していきバランスを壊すことで何かが出来上がったかもしれない。
最後の撮影を終えて嬉しそうに帰っていった羽田さんでした。
杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2021.6.17・24 掲載終了 2021.7.25
注意:
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