宣材から見た福富は保育園の保母さんの様な優しげな女性であった。だが現れた人とはあまりにもかけ離れていた。
女の荒波を乗り越えてきた熟女、嘘と真がドロドロに流れる凄惨な人生、そんなことを思わせる女性である。それだけに女の重圧な存在感がある。一瞬戸惑ったが過去にもそんな人生観を持った女性であるからこそから生まれる醜悪な美をとっている。記憶に残るその画像は赤い目隠しをして真っ赤な唇を半開きにした女の画像だ。彼女も福富に似ていた。その記憶を他の女で試しても全くインパクトがない、唇に汚れた垢がないのだ。
緊縛撮影には撮影者はモデルからうける衝撃で壊れるところから発想を産むのが最適かもしれない。この様な女はとても貴重な存在である。正座をした福富の左の薬指にはめられた結婚指輪が人妻を伺わせているのかこれも偽装なのかとふと思う。確かにこの撮影ではスタッフが皆壊れていた。だがだが吊りの辛さに涙をこぼす福富の姿は真柏であり縄を解かれて佇む哀れさは美が淀んでいた。
文：杉浦則夫
撮影：杉浦則夫 緊縛：奈加あきら 助演：鏡堂みやび 制作：杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2022.10.6・13 掲載終了 2022.11.10
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