始まりは6年ほど前と記憶する。俺は恋にやぶれて失意のどん底な生活であった。そんな時に須永佐和子という女性からパソコンにメールが届き、撮影をお願いしますとあった。内容は縄を受けると意識がとび、空の体が浮遊物のようにフワフワとただよい、そこの中に色々なイメージがおこってくる、というよりもその幻覚に襲われる。夢とも違う今は説明し難い感覚です。と云うような事が書かれていたように記憶する。
俺もその頃はほとんど眠る事が出来ない状態の生活で、地下鉄のベンチに座り込み電車が起こす轟音を聞きながら眠気の中にいると、まるで羊膜のなかをただようような感覚であった。須永に吊りの感覚はそれに近いかと返信すると、それに近いかもと云う返事。2.3度の文通に、俺と縄の関わりを書いた。30年近くも緊縛図を撮って来たがほとんど女を縛ると云う事がなかった。それに自分の緊縛写真を見直したかった。そんなことを書きながら美帆と繋がった。
初めての撮影は犬吠埼のホテルで冬の海岸沿いのホテルには人気がなく貸し切状態であった。たぶん縛りの撮影で二人だけのことはなかったはず。業界では禁欲者として通っていたはずの俺であるが、美帆の尻の魅力を脳裏にもちつづけた性欲はメイクをすませた美帆を組み伏せてしまうところから始まった。
朝日が強く入る海辺の部屋は冬でも暖かく、浴衣をたくし上げたように寝乱れた美帆が薄青のパンツも乱して寝入っていた。俺はなんと元気な事か、朝からまたしてもいいよるのである。不思議と拒まない美帆。
美帆さんとの撮影でまず驚かされたのは、縛るのは専門職に任せ、長年撮る方専門だと思っていた先生自らが縄を操っていたことです。
そんなところからもプライベート感満載な写真が実に新鮮でした。
私も美帆さんのお尻に瞬時に魅了された一人なので、わからなくもないですが、それにしても開始が禁欲者とは思えない、いきなり襲いかかるところからだとは思ってもいませんでした。
写真から抑えきれない衝動、双方の思いのたけの爆発があふれ出ているようで、それはそれは衝撃的でした。