半世紀前には緊縛は反道徳的であった、非日常であり秘密的アングラであった。好事家たちは縄の情念をひた隠してジギル氏とハイド氏の生活をしていた。その秘密の楽園は蜜の王国であり、麻薬的な陶酔をもたらすものであったはずだ。それがいつしか緊縛は商業主義の侵略で市民権を得るまでになった。おもしろき事は常に広く世に渡り、おもしろき核は拡散するものであろうと諦める。
この撮影は蒼木樹里氏に縛りを依頼した。撮影前の打ち合わせで縄のようすをいつもにない様にしてほしいと依頼した。俺自身が緊縛に求められる嗜好を深く理解しなければならないがなにかしらの改革がほしかった。とわいえ形式美の世界に過度な変化はありえない。結果に不安があった。
現像をしながらつぶさにワンカットをみつめるとこのウエストに数本の縄が責めていたらこの写真は良くなる、もっと責めろ晴雨ならばどうすると自問をしている。
クリップ、ローソク、バイブ、浣腸、異物挿入、花電車、刑罰の道具、水責め、折檻、これらはそれなりの表現をしてきた。これらを道具をもってそれぞれの女の艶を引き出すというのが本道であろう。
そこでそれぞれの女の艶を引き出す縄を俺はつくったきただろうか?その点はSMセレクト時代の濡木氏の画像を見ると女によって変化のある縄がかかっているのを見ることができる。それも過去であり今は今の時流がありそれが緊縛の世界ではないのだろうか。
文 杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:蒼木樹里 助演:河辺匠 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2019.11.21・28 掲載終了 2019.12.26
杉浦則夫緊縛桟敷 掲載内容
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