美人の一言に尽きる。彼女は今も浅草のロック座の舞台で華やかな踊り子であるはずだ。俺は20代の頃ロック座の姉妹座である東洋劇場で働いていた。60年代末のことである。
青春の思い出がいっぱい詰まった街である。その頃の浅草ロック街はすでに寂れてしまい人手があるのは祭りがある時ぐらいであった。そんな斜陽をくぐり抜けて、現在も続くロック座は大したものだ。
くちなし色の訪問着を着た花井は踊り子だけに着慣れたしつけである。今日は地唄の稽古に訪れた師匠宅での物語。師匠に新茶を入れるのであるが、師匠の口に合わない。それをいいことに弟子に難癖をつけ始める。なんのことはない自分の楽しみの縄をこの美人弟子にかけたいだけだ。
手首を後ろ手にとった師匠が見つめるのは外の薄明かりに雪肌のしずくのうなじが眩い、メラメラと情欲がたぎる。許しを訴えるしずくの美しい顔が苦悶に歪み、しずくは修羅の淵に沈む。
男にとって美は魔物である。それを独占して自由に扱えるならば地位も常識も忘れる瞬間がある。今日の師匠の狂気はそこにある。自由を拘束されたしずくの花芯をクリップで開いて、開かれた小陰唇から覗くクリトリスがまん丸で可愛いとか、やれ膣の暗闇の先を覗きたいものだとかとぶつぶつと呟くのであった。
杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2023.5.18・25 掲載終了 2023.6.22
注意:
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掲載終了後は姉妹サイト「緊縛桟敷キネマ館」にて販売される予定となっております。※販売時期は当分先になります。
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