まりか

By 2024年7月25日撮影後記

ロサンゼルス在住で米国のポルノ女優として活躍し、先日はハスラーの表紙を飾ったマリカさんから帰国するから桟敷の撮影をしたいと連絡が入った。


以前の撮影の評価はハードな縛りに耐えるマリカに驚きと憐みをみたらしく評判は良かったと云う。和服で撮影をしようかと思ったが敢えて特殊なワンピースにした。彼女はこの衣装が気に入り持ち帰ることになる。
高見 順詩集「死の淵より」を木陰で読む。マリカは米国にいても常に母国に注視して古典文学を読んでいると云う。このスタジオは今日が最終日と言うから何かの因縁を感じる。床柱を背にしてM字開脚の黒のパンツにを凝視すると何かのアイデアが浮かびそうな予感がする。パンツの中に縄を荒くよって通してみよう、その後は何かが生まれるだろうと試す。米国ポルノの最高賞をとった貴重な淫靡な陰襞に快楽よりも責めをクリップで苦痛の責め。マリカは今まで見開いた視線を閉じて苦悩の世界に入る。責められる女の美がのぞく。この美しさは性の経験と興味が多いほど美が映える。若年者においては涙がそれに変わる。

昼食。葵まりさんがローストビーフ、焼き鳥、唐揚げ、甘いお菓子など大量の差し入れ。もともとマリカさんを紹介していただいたのはまりさんからである。

黒の下着を選んだのは正解だ。ボデーラインが綺麗だ。俺の得意な鏡に顔を写して後背位で写そうとイメージを作る。この様なイメージは俺の頭の引き出しをグルグルと巡ってたどり着く。故に俺は現場の環境を大切にするのである。異物で犯される女の哀れな羞恥と屈辱をしっかりと見つめろと男の命令が叫ぶ。だがマリカは羞恥というよりも快楽に酔う陶酔した自分の顔に見惚れるのであった。
マリカさんは翌日の飛行機で帰路についた。

杉浦則夫

撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2024.7.18・25 掲載終了 2024.8.22

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