「鶴」
遊女として初めてのお客様に付く日、私は鶴と花が描かれた鮮やかな赤い襦袢を身に着けさせられました。それまで着たことがないくらいの賑やかな襦袢は、新米遊女には心が躍るような感覚を与えてくれたのです。
さて、お得意様でもあるようなお客様の元へ連れていかれ二人きりになると、1本の縄を持ち出してきました。私の両手首を胸の前で縛ったかと思うと、何も言わずにじっと見ています。「従わなければいけない・・・」そんなことを頭の中で思いながら不安と闘っていました。正座をしている私を横に倒し、襦袢の裾をめくりあげました。「遊女の仕事が始まる・・・」と覚悟をしてみたものの、次の行為が続かない。裾をめくりあげ、足を開かされたままで陰部をずっと見られている。人様に見せるようなものではないし、見せたくはない。恥ずかしさがこみあがってきて足が閉じてくる。と、また思いっきり開かされる。閉じる開くを繰り返していると、また縄を持ち出し膝を曲げた状態で縛られてしまいました。足が閉じられないように身体を縄で固められて陰部は全開となり、大きな口を開けています。その口にはイチモツが入ることはなく、指や張形や日常生活で目にするさまざまな棒状のものを加えさせられては、じっと見られる・・・。時間が経っても慣れるどころか、私の中の羞恥はどんどん拡張されていくだけの初日でした。
なぜか、このお客様は何度も足を運んでくれました。が、いつも縛られて陰部を晒されて弄られるだけ。男性との悦びなど知らず、縄跡と熱くなる陰部と羞恥だけを学びました。
そんなある日、別のお客様のお相手を・・・。初めて遊女らしいことをしました。縄もなく道具もなく、少しだけの恥じらいと高まる快感を覚えたのです。このお客様と何度かお相手をしているうちに、駆け落ちなる単語を交わすような関係になり、あえなく失敗・・・。
楼主の元で今までに受けたことのないような縛りで天地逆さまにされ、怒鳴られ痛めつけさせられ・・・。折檻を受けました。
生きていることは運が良かったのか分かりませんが、私はまた遊女として、あのお客様の前に出されています。以前と変わらず、縛られ足を開かせられ何かを入れられる。そしてじっと見られている。この羞恥が気持ちいいのか分かりませんが、恥ずかしい恰好を隠せない状況を認めたり否定したりしているうちに、自分自身が分からなくなる・・・そんな感覚が嫌いじゃないのでしょうね・・・。鮮やかな襦袢はいつも傍にあります。
今回は、下手な物語みたいな感じになりました。私はいつもプライベートで縛られる時に身に着ける衣装で勝手にストーリーを描いています。前出の「鶴と花の鮮やかな襦袢」も一目見た時にお金が行き来している襦袢、と感じました。過去に着た赤い襦袢とは全く違う世界が見えました。羞恥の拡張や継続していく羞恥のような印象を与えられました。遊女の世界は階級社会です。私は上層には行けず下層の遊女のまま終わる自分を感じたし、今回の襦袢は逃げられない身を連想させられました。私の見る限りでは鶴たちは足の上に花が描かれていました。襦袢に描かれている鶴おめでたい鳥ですが、飛びながらも足枷を付けられているのです。遠くに行けないのです。
また着たい・・・
美帆
ブログ拝見しました。
十縄十想・・・縄に対する美帆さんの思いがすべてこの四文字に込められているわけですね。何千回、何万回縄をやっても、一回一回の縄にはその都度一つ一つ深い想い(物語)が込められている。何万回縄をやっても、一期一会なんですね。縄に込められた想い・・・それは美帆さんの人生そのもの。縄を通して、これからとんな物語、人生が展開するのか、楽しみにしてます。
のんさん、コメントありがとうございます。
一回の縄ごとに、今の私とは違う私に出会っています。台本のないストーリーの中の私に会えること、とても楽しみだったりします。これからも、私の文にお付き合いくださいませ。いつも、温かく見ていていただき、ありがとうございます。
美帆
みほさん、こんにちは。
羽織った襦袢からここまでのストーリーが浮かぶのは凄いですね。本当にそんな女性が着ていたのかもしれないと思ってしまいました。またこのストーリーはみほさんの願望であるのかもしれませんね。
kenさん、コメントありがとうございます。
着るものは単なる衣装として扱ってしまったら、つまらない仕事になってしまいます。
私はただの縄好きは終わりました。縄のあった時代を共存してみようと思い、今は縄を受けています。
遊女のお仕置きには、すごく憧れています。命を懸けて守るもの(家族や恋人)の存在は、素敵だと思います。
そんな時代に生まれたかったです。
美帆