櫻子さんは久々の桟敷のモデル募集からの応募モデルです。打ち合わせを綿密にして了解を得た上の撮影です。動機は桟敷の広告ページを見てとのことです。
撮影当日にスタジオの近くの曙橋で待ち合わせる。朝の早い通勤客に混じって地下鉄の出口から現れた櫻子さんは春物のスプリングコートを着た細身の人であった。大きなマスクをしたくるりとした目をした可愛い人だ。スタジをについてコートを脱ぐと迎賓館に出入りする様なエレガントな白い衣装を細身にまとっていた。俺が用意した白のワンピースに着替えさせるのが気に弾ける。
櫻子はかなり緊張気味だ。体をほぐす必要がある。ウオーミングアップをして貰うとフィギュアスケートで見かける片足で立ちもう一方を両の手で持ち上げるポーズを見せてくれた。まずは股間は柔軟だ。櫻子の細身を被虐の美を考えた。かって濡木さんではむしろこの様な細身のモデルであるからこその被虐感を表していた。奈加さんと俺との表現の幅を作るのにもいい機会と、撮影前に三者で濡木さんの縛りを見ながら打ち合わせをする。
俺の想いにはそれらの画像と晴雨の画像が色濃くある。だが時代の条件は被虐からは離れたものとなっている、それはただ俺の想いとの違いというだけのことであろうか?今後はこの様な緊縛における大きなテーマを綿密に表現することに心がけていこう。
櫻子の尻が突然現れた、少女の様な可愛い尻がポッカリと現れた。予期しないペットとの出会いの様に現れた。夢の様な感動の瞬間だ。今日はここにテーマを絞る。縄を受けた櫻子は陶酔の涙をこぼし始める。その表情にロリコン嗜好の経堂画伯は「俺はこの涙だけでもセンズリがかける」と騒ぎ立てる現場が出来上がる。いまひとつの特筆することは櫻子はいままでこのように人前で裸を見せたことがない、今日が初めてのことだということである。涙の訳はそこにもあるのか?まるで処女を捧げる少女の想いか?縄への願望がそれほどまでに強くなっているのか。ほとんど休む間もなく撮影はつづいた。
文:杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2022.4.21・28 掲載終了 2022.5.26
注意:
月額会員サイト「杉浦則夫緊縛桟敷」でのダウンロード作品の掲載期間は四週間です。
掲載終了後は姉妹サイト「緊縛桟敷キネマ館」にて販売される予定となっております。※販売時期は当分先になります。
リンク:緊縛桟敷キネマ館 →
櫻子さんの手記を読みました。
゙三月十五日の櫻子”
読み進めるなかで、恥ずかしながら、私を彼女に溶け込ませていました。私は櫻子。櫻子は私だ。彼女の手記は私の気持ち。男の私には叶うはずもない桟敷。わかっていながら、女装して先生の被写体になりたいと願う私がいます。
私の気持ちはここにはありません。モデル応募のページにあって、思いをぶつけ、そうして送信ボタンを押したいのです。
すみません。ご気分を壊されたなら謝ります。
思いだけ受け止めてください。
これからもお体を労り、楽しませてください。また、お逢いできる日を楽しみにしております。
櫻子さんに圧倒された。SMとは無縁の世界から迷い込んだような女性が、かくも艶やかに覚醒するとは。緊縛の力が心の澱を一気に洗い流したのか。緊縛桟敷の扉を開けたこのは、彼女の生き様か覚悟の証か。間違いなく新ヒロインが降臨した。次はどんな世界を全身で描き出すのか?櫻子さんは憂いの視線の先に、まだ観たことのないSMの世界を捜しているのだろう。彼女への期待には怖れさえ覚える。
櫻子さん。真っ直ぐ、汚れず、信念を貫いてください。