最近のモデルさんは定時に必ずスタジオ入りをするのに10分過ぎても現れない。おかしいと思いプロダクションに連絡を入れると予定には入ってないとのこと。俺の思い込みの間違いがわかる。
急遽連絡のつく子を探してもらい待つことにする。待つこと2時間。新川さんが千葉から荻窪まで来てくれた。メイクの最中に急な仕事のお礼を言いながら少し会話をする。新川さんは以前に桟敷に出演したいと頼まれれいたモデルさんである。動機はなんですかと質問すると、痛みが気持ちがいいとの返答に厳しい縛りになりますが宜しくと伝える。
このところ思うところがありライチングを変えた。俺の初期の照明に変えつつある。陰影のコントラストを強くして影の部分を大切にすると言うことである。振袖を着た新川の襟足が子供顔でありながら白く艶かしいのを認めてそのカットから始める。横顔が可愛く写るまずは成功の始まりだ。
だが意外なことが起こった。最近iPadに撮影の資料として画像を入れて現場に臨んでいる(特に吊りにおいてはおおよその説明ができるが的確には難しい)それでかって奈加氏が吊ったごく単純な吊りのサンプルを示してお願いした。単純さをコピーするのを嫌ったのか、彼はそれを作るのに困難を極めた。現場は混乱した。この混乱が物を作るサイクルに入りどんどんと変化をもたらし、原画を超えた素晴らしさを作った。まるで昭和のよき時代の様な風景であった。今後はこの様な物づくりの機会が多く生まれればと期待している。
艶やかな緊縛図とまではならなかったが、新川は厳しい受縄を快楽で受け止めていた。
杉浦則夫
撮影:杉浦則夫 緊縛:奈加あきら 助演:鏡堂みやび 制作:杉浦則夫写真事務所
掲載開始日 2021.10.21・28 掲載終了 2021.11.25
注意:
月額会員サイト「杉浦則夫緊縛桟敷」でのダウンロード作品の掲載期間は四週間です。
掲載終了後は姉妹サイト「緊縛桟敷キネマ館」にて販売される予定となっております。※販売時期は当分先になります。
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